●【2】愛の流刑地(第26~40話)不倫妻をもつ夫の悲しい日記~愛ルケ | 「愛の流刑地」~不倫妻をもつ夫の悲しい日記~愛ルケ

●【2】愛の流刑地(第26~40話)不倫妻をもつ夫の悲しい日記~愛ルケ

愛の流刑地は、渡辺淳一の「失楽園」に次ぐ、話題の小説。日本経済新聞(朝刊)に連載中!

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●「愛の流刑地」について●


   日本経済新聞の朝刊で、毎日連載している、「愛の流刑地」は、


   あの、「失楽園」でおなじみの、渡辺淳一が書いた小説です。


   僕は、毎朝、通勤電車の中で、「愛の流刑地」を読んでいますが、


   よく考えると、僕の家庭事情と、「愛の流刑地」の内容が、


   そっくりなのに、気づきました。これは、他人事ではない。


   不倫を楽しんでる人妻である冬香は、実は、僕の妻なのかもしれない。


   間違いないかも・・・・・


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(41)愛ルケ■


 昨日の夫婦喧嘩のことが、気にかかりながら、


 朝起きたら、すぐに、会社へ向かった。


 妻は、別室で、まだ眠っているようだったので、


 無言で、朝食もとらず、家を出たのだ。


 会社でも、妻のことが、気になり、仕事も手につかなかった。


 僕は、言い過ぎたのではないか?


 セックスレスくらいで、怒ることは、間違いなのか?


 世間の夫婦も、こんなことでは、喧嘩をしないのか?


 自分の常識は、世間の常識とは、違っているのだろうか?


 この気持ちを、すっきりさせたく、後輩の、東條を、


 仕事の後、飲みに誘った。


 「先輩、気にしない方がいいですよ。」


 「雑誌のアンケート調査で、今どきの30~40歳代の夫婦は、


 大多数、特に、夫婦の仲が悪いのでもなく、セックスレスで、


 ただ単に、お互い干渉するのが、わずらわしいという、


 データが記事になっていましたよ。」


 「先輩、奥さんを、愛しすぎているのではないですか?」


 「もっと、楽に、考えましょう。」


 「若い娘と、不倫するくらいの方が、精神的にいいですよ。」


 東條の言葉に、ぼくは、少し気持ちは、落ち着いたが、


 さすがに、妻の、不倫疑惑のことは、言えなかった。


 確かに、僕は、妻を愛している。しかし、片想いだ。


 妻は、僕を、汚らわしいと、避けている。


 ましてや、僕よりも、10歳くらい年上の、おっさんと、


 不倫するなんて・・・・


 でも、事実なんだ!


 かなり、酒に酔ってから、東條と新宿駅で別れた。


 もう11時を、過ぎているようだった。


 帰り道、ふっと、昨夜の、妻との喧嘩のことを思い出した。


 妻は、今夜、泊りがけで出かけると言っていたが、本気なのか?


 やっぱり、僕よりも、不倫をとるのか?


 本当に、出かけて、家に、いなかったら、どうしょう?


 自宅に、近づくにつれて、酔いが、一気に醒めてきた。


 助けて下さい!勘弁してください!


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(40)愛ルケ■


 僕の、甘い誘いの言葉に、妻は、嫌悪感一杯の顔をした。


 何を言っているのですか?


 「絶対に嫌ですから。」


 冷ややかに、つぶやいた。


 「でも、僕は、今でもずっと、君が好きなんだよ。」


 僕は、心を込めて伝え、妻を、ソファーに押し倒そうとした、


 すると、妻は、突然、叫んだ。


 「止めてよ!汚らわしい!」


 「あなたとするくらいなら、死んだ方がましだわ。」


 僕は、妻の言葉を疑った。


 汚らわしいのは、不倫をしている妻の方だろう?


 僕は、ついに、堪忍袋の緒が切れた。


 「それなら、もう、出て行け!」


 「二度と、僕の前に、現れるな!」


 「君のように、勝手な女は、地獄に堕ちてしまえ!」


 妻も、言い返してきた。


 「あなたなんて、結婚する前から、好きではなかったわよ。」


 「私こそ、もう、あなたとの、結婚生活に耐えられないわ!」


 「子供たちを、連れて、出て行きます!」


 僕は、逆切れする妻に呆れた。


 「なにもやらない。お前一人、出ていけ!」


 僕は、妻の顔も見たくなくなり、そのまま、寝室へ行った。


 僕の目から、涙が溢れた。


 好きだったのに・・・


 なぜ、僕が、こんな目に合うのだ。


 助けて下さい!勘弁してください!


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(39)愛ルケ■


 僕は、風呂を上がり、ソファーで、ゆっくりビールを飲んだ。


 僕は、妻から、何度も、夜の営みを、拒否されている。


 もう耐えられない。


 最近の、妻の冷ややかな態度に、苛立ちも感じるのだ。


 不倫相手とは、関係を持つのに、夫とは、拒否するとは・・・


 僕の、何が、不満なんだ!


 僕には、わけがわからない。


 もし、今日、僕を避けたら、離婚しよう。


 これ以上、仮面夫婦を装ってもしょうがない。


 何がなんでも、今夜は、満足させてやる。


 ビールを飲みながら、一気に栄養ドリンクも飲んだ。


 久しぶりに、体中が燃えるように、高ぶってきた。


 しばらくして、妻も、風呂から上がったようだった。


 そして、やさしく、妻を呼んだ。


 一緒にビールでも飲まないか。


 たまには、一緒に寝ようよ。

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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(38)愛ルケ■


 僕は、ゆっくりと、湯船に入り、すべてを洗い流したかった。


 でも、もう、許せない。


 妻の不倫は、寛大な僕の心の限度を越えている。


 不倫というものは、本当は純愛なんだと思う。


 不純な結婚を前提とした恋愛とは、格段に純粋だ。


 よくあるのが、結婚をする相手に、いろいろ注文をつけたがることだ。


 金持ちだの、高学歴だの、一流会社勤務だの、容姿端麗だの、


 玉の輿だのと、きりがないくらい、不純なことを並べたがる。


 でも、不倫で得るものは、ただ愛のみである。


 今ある、子供達との幸せな家庭生活も、夫婦で築いた財産も、


 すべて、一瞬に失うのである。


 何もかも、破壊しても、妻は、好きな相手ができたのだ。


 僕よりも、好きになってしまったのだ。


 悲しい、悲しすぎる。


 子供たちはどうなるのだ。


 ただの、犠牲者なのか。


 何も悪いことしていないのに・・・


 妻の不倫現場を見てから、僕は、覚悟はできている。


 離婚届には、印を押してある。


 後は、妻に署名・捺印をさせ、役所に出すだけだ。


 よしっ、今夜、夫婦の絆を試す、最後のチャンスを、妻に与えよう。


 僕は、決心して、勢いよく、風呂から出た。


 助けて下さい。勘弁してください。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(37)愛ルケ■


 子供たちも、夏休みになり、明日から、


 富山の実家に遊びに行くらしい。


 最近、子供たちも、身の回りのことは、自分でできるようになり、


 妻も、子供に手がかからなくなったようだ。


 自由な時間が増えた分、妻は、不倫をする時間も増えたのか?


 僕が、仕事から疲れて帰って、リビングでくつろいでいると、


 妻が、僕に明日の予定を、伝えに来た。


 明日、学生時代の友達が、上京して来て、外苑の花火大会に行きます。


 夜、遅くなりそうだし、子供たちは、富山の実家に遊びに行き、


 いないから、私も泊まってきますね。


 僕は、呆れた。


 よくも、そんな嘘をつけるな!


 言葉に出しかけたが、ぐっと堪えた。


 子供たちを、実家に帰して、堂々と、お泊りで、不倫なんて。


 本当に信じられない女だ。


 どうして、こうなってしまったのだろう。


 僕のどこが悪いのか?


 人並みに、仕事で稼ぎ、家族サービスもしてきた。


 夜の営みに、満足していないのか?


 僕のテクニックが下手なのか?


 不倫相手とやっているのに、僕とは拒むなんて、


 やっぱり、僕が、満足をさせてないのかも。


 でも、三人の子供もできたのに・・・


 ますます、自暴自棄になってきた。


 すごく悲しいよ。また、涙が出てきてしまう。


 助けて下さい。勘弁してください。

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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(36)愛ルケ■


 最近、妻の姿を見ただけで、ムカつく。


 浮気現場を見たことを、思い出すだけで、


 妻が早く、死んでしまえばいいのにと思ってしまう。


 でも、妻に保険を掛けているわけでもないし、


 僕には何の利益もない。


 ましてや、妻が死んでしまったら、


 僕が仕事中、三人の小学生の子供たちの世話を誰がするのか。


 一番の女の子は、益々かわいくなってきた。


 二人の、男の子も、わんぱくで、将来が楽しみだ。


 でも、子供たちが、母親が、父親以外の男と、


 遊んでいるなんて知ったら、どう思うのだろうか。


 きっと、不信感で一杯になり、グレるだろう。


 妻が、浮気をするなんて、百害あって一利なしなのである。


 やっぱり、生かさず殺さずで、見て見ぬふりをするのが、


 得策なのか。


 賢い妻は、夫が、浮気した時、荒立たせず、深く追求しないで、


 掌で転がして、主導権を取ると言うが、もっともである。


 世の中、不倫している妻たちは多いのかもしれない。


 そうか、ブームなんだ。流行っているんだ。


 僕は、自分を慰めながら、今日も、ふとんの中で、涙を浮かべていた。


 助けてください。勘弁してください。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(35)愛ルケ■


 雨の中、妻が不倫相手と、キスをしている現場を見た、


 リアルな映像が、脳裏を離れない。


 その度に、怒りもこみ上げてくる。


 まして最近の、妻の僕に対する、一段と冷ややかな態度に、


 苛立ちを感じる。


 梅雨が明けた、最初の日曜日の朝、富山の両親が、上京してきた。


 父は、心臓の病気があり、その検査に出てきて、翌日から、


 病院に通うことになるらしい。


 僕の新居を見たいらしく、突然、来たのである。


 妻は、そわそわして、つぶやいた。


 今日は、友達と会う約束があるのに困るわ。


 僕は、ピンときた。


 今日も、不倫相手と会う気なのか・・・


 両親が、わざわざ、富山から来たのだから、キャンセルしろ!


 僕は、怒鳴った。


 父たちが来て、子供たちも楽しそうだった。


 昼過ぎまでは、自宅でゆっくりした。


 子供たちと一緒に、夕食をするために、


 その後は、父たちが、泊まっている新宿のホテルへ行った。


 でも、妻は、夕方、急に体の調子が悪いと言い出し、


 自宅に、ひとりで、先に帰ってしまったのだ。


 最近は、妻の言動の、一つ一つのムカつく。


 今日は、父たちもいるので、


 何も言わず、無視して、妻を帰した。


 勘弁してください。助けてください。

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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(34)愛ルケ■


 新百合ヶ丘の駅から、自宅に向かって歩いている時、


 ふと、今日は、妻の不倫の行動を、尾行するために、


 会社を休んでいたことを、思い出した。


 まだ、3時頃なので、夕方まで、時間をつぶすため、


 駅前の喫茶店がある方へ戻ることにした。


 今日は、悪夢のような日だった。


 妻の不倫現場を、目の前で見てしまったのだが、


 これだけなのか?


 昔から、不倫ぐせがあって、何人の男と、関係を持ったのか?


 僕の子供たちは、本当に、僕の子なのか?


 妻への憎しみと、怒りが、湧き上がってきた。


 そうか、僕との、夜の営みを、拒んだのは、


 昼間から、僕のいない時に、遊びまわり、


 満ち足りていたからなんだ。


 僕は、セックスレスになった理由が、やっとわかった。


 妻を愛していたし、セックスレスになりたくなかったのに・・・


 でも、事実を知った以上、もう妻に、触れたくもない。


 不潔だ!病気でもうつされていたらどうするんだ!


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(33)愛ルケ■


 僕は、千駄ヶ谷の駅へ走り、扉が閉まりそうな、電車に飛び乗った。


 すぐにでも、今、見た事実を、家に帰り、忘れたかった。


 とにかく、すべてを冷静に考える場所が欲しかったのだ。


 車窓を、呆然と見ている、僕の目には、涙が一杯になり、


 今にも、溢れんばかりだった。


 本当に、悲しすぎるよ。


 僕は、ひとりで、つぶやいた。


 心の裏側では、妻への憎しみも、込み上げてきた。


 妻が、不倫したのだから、僕も、不倫をして、仕返しをすればいい。


 でも、42歳の僕には、もう、不倫などする勇気も自信もない。


 妻は、やりたい放題なのに、情けない話だ。


 乗換の、新宿駅で、線路から、誰かが、ささやいているような気がした。


 「もう、生きている価値なんてないよね。」


 「妻に浮気されるなんて、男としても、サイテー!失格だね!」


 「人生をリセットして、楽になったらどう?」


 ホームの下へ、呼び寄せられ、飛び降りようとした。


 「バカヤロー!」


 電車の電子ホーンとともに、体格にいい青年が、僕の手を引いた。


 「おっさん、何を考えているんだい!」


 「死んでどうするんだ!」


 「残された子供の気持ちになれ!」


 大声で、怒鳴り散らす、青年は、僕の顔を、一発殴り、


 その場を、すぐに、去って行った。


 しばらくして、命拾いしたことに気づき、目が覚めた。


 あの青年に、感謝しながら、無性に、子供たちに会いたくなり、


 僕は、そのまま、自宅へ向かった。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(32)愛ルケ■


 雨の中を、傘をさしながら、辛抱強く待ち続けた。


 時折、道を歩く人たちが、不審そうに、僕を見ながら、通り過ぎる。


 僕は、妻が、不倫をしていることに、腹が立つどころか、情けなく、


 自分に魅力のなかったことに、死にたい気分になっていた。


 待つこと、3時間を過ぎ、お昼の1時をまわった頃、


 二人がエントランスに出てきた。


 男は、管理人に挨拶をして、右手に持った傘に、妻を入れ、


 歩き出したのだ。


 僕は、とっさに、管理人の近くに走って行き、聞いてみた。


 「あのう、さっきの女性は、よく来るのですか?」


 管理人は、不審そうに、僕をにらんだ。


 「実は、あの女性は、僕の妻なんですけど・・・」


 彼は、僕の言葉にびっくりしたようだった。


 「ええ、週に何度かは・・・」


 気まずそうに答えた。


 「やっぱりそうだったのか・・・」


 そして、僕は、すぐさま、追いかけた。


 後を、つけて行くと、二人は、神社の中に入って行った。


 でも、僕は、妻の、あんなに楽しそうにしている姿を、


 長い間、見たことがなかった。


 妻の笑顔がないのは、すべては、僕の責任なのかも・・・


 次の瞬間、決定的なものを見てしまった。


 白昼堂々と、二人は、キスをしはじめたのだ。


 僕は、頭が、パニックになり、


 目から、急に、涙で一杯になった。


 こんなに悲しいのは、生まれてはじめてだった。


 学生のとき、失恋したときも、悲しかったが、


 妻を盗られることほど、情けなく、悲しいことはない。


 それも、目の前で・・・


 「もうイヤだ!」


 僕は、耐えられなくなり、叫びながら、千駄ヶ谷駅へ一人走って行った。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(31)愛ルケ■


 蒸し暑い、雨の中を、新百合ヶ丘の駅に向かう妻を尾行した。


 平日の、朝なので、電車の中は、通勤通学ラッシュで混んでいた。


 妻は、新宿駅で、小田急から、JRに乗り換えた。


 妻を、見失いそうになりながら、僕は尾行を続けた。


 千駄ヶ谷に着くと、小走りに、駅を駆けて行った。


 もしかして、尾行がバレたのかと思った。


 しかし、妻は、気にすることなく、楽しそうに、


 スキップをしながら、商店街を駆け抜け、住宅街に入っていった。


 僕は、ドキドキしながら、尾行をして行くと、


 五階建てのマンションに、妻は、入って行った。


 僕も、入ろうとしたが、1階の入口に六十歳半ばの管理人がいた。


 僕は、不審者と間違えられてはいけないと思い、、


 外で待つことにした。


 ボーッと、しながら、マンションの上の方を、眺めていると、


 3階の窓から、カーテンごしに、妻の姿が、ちらりと見えた。


 その横で、五十歳台と思われる男の姿も見えた。


 もうダメだ。明らかに、朝から、密室で、


 不倫をする妻を発見してしまったのだ。


 頭の中が、パニックになり、クラクラしてきた。


 おまけに、心臓も破裂しそうになり、立っていられなくなった。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(30)愛ルケ■


 僕は、今日、妻に内緒で、会社を休んだ。


 当然、昼間の、妻の行動をチェックするためなのだ。


 いつものように、朝、会社へ行くふりをして、家を出て行った。


 近所の人々に、不審に思われてはいけないと思い、


 愛車を置いてある、少し離れた駐車場の、


 車の中で、待機することにした。


 その駐車場からは、うちの玄関のドアが見えるので、


 妻が出てきたら、すぐに見つけることができるのである。


 8時30分を過ぎた頃、ついに、玄関のドアが開いた。


 妻が、こぎれいな格好で、出てきたのである。


 僕と出かけるときは、こんなに、きれいにしていないのに・・・


 妻が、別人のように感じられた。年齢も、かなり若く見えた。


 ついに、妻が動き始めてしまったのだ。


 心臓が、バクバクしてきた。


 本音を言えば、これ以上、見たくないのだ。


 不倫の現場を、押さえたからといって、


 僕は、何の利益があるのだろう?


 待っているのは、不快感と、決定的な家庭崩壊のみである。


 そうしているうちに、妻は、少し急ぐように、


 駅の方へと歩いて行った。


 僕は、車から降り、妻を尾行することにした。


 後を、つけている間、僕の方が悪いことしているようで、


 息が詰まる思いだった。


 心臓が、破裂しそうで、何度も、引き返そうと思った。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(29)愛ルケ■


 妻は不倫旅行から、帰ってきてからも、


 何事も、なかったように、家事と子育てをしている。


 僕も、とりあえず、何も知らないふりをしていた。


 真実を自分で確かめてから、結論を出そうと思った。


 小学5年生の、一番上の子供から、時々、土曜と日曜に、子供たちで、


 妻がいない間、留守番をしていることを聞いた。


 子供を犠牲にしてまで、不倫の快楽に走るとは、呆れてくる。


 来週、ついに僕は、妻に内緒で、夏休みを取り、


 日常の、妻の行動を、尾行することにした。


 すべての、真実を、ビデオとカメラに収めようと思った。


 でも、なぜか、吐き気がし、胃が痛くなって、震えてきた。


 真実が怖い。知ったところで、待っているのは破局だ。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(28)愛ルケ■


 同期の山田と、飲んだ後、子供たちのいる家へ帰った。


 ドアを開けると、「おかえりなさい。」と妻の母がいた。


 妻の留守の間、富山から、妻の母が、子供たちの世話に、来ていたのだ。


 「お疲れでしょう?」「お食事は?」と、優しく、聞いてきた。


 でも、急に、妻の不倫疑惑が、頭によぎり、ムカついてきたのだ。


 この親は、自分の娘を、どういう教育をしてきたのだ?


 それとも、この母親も不倫してきたことがあるのか?


 子供をもつ娘が不倫をすることに、何とも思わないのか?


 妻の母親に、当たりそうになったので、会話もせず、


 無視して、今日は寝ることにした。


 もう、家庭崩壊だな。離婚しかないか。


 でも、僕は、何も悪いことしてない!


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(27)■


 今日は、妻のほうから、誕生日を祝うためのディナーを、


 キャンセルされたて、あげくの果てに、今日は泊まりで、帰らないとは・・・・・


 僕の、妻への気持ちを、踏みにじまれた気分になった。


 あまりにも、むしゃくしゃしたので、今夜は、


 同期の山田と、飲んで帰ることにした。


 山田と、夕方、渋谷で待ち合わせ、居酒屋に入った時、


 いきなり、僕に聞いてきた。


 「冬香さんは、今日は旅行なの?」


 僕は、なぜ、山田が、妻が泊まりで、


 出かけたことを知っているのか、不思議に思った。


 「さっき、小田急の新宿駅で、大きなカバンを持って、


 待ち合わせをしているところを見たんだよ。」


 山田は、申し訳なさそうに、続けた。


 「実は、気になったので、しばらく見ていたんだ。」


 「すると、50歳くらいの男性と一緒で、


 寄り添うように、ロマンスカーに乗ったんだよ。」


 「人違いかもしれないので、とりあえず、君に確認したんだ。」


 もう、妻とは終わりだと思い、僕は、正直に、今までのことを、


 山田に話して、相談しょうとした。


 すると、山田は、深刻な顔して、


 「冬香さんを、僕の妻が、以前、千駄ヶ谷で見たと、言っただろ?」


 「その後も、よく見かけるらしく、たまに、50歳くらいの男性と、


 手をつないで、歩いているらしいよ。」


 僕は、妻がメールをしている村尾という男のことが、頭に浮かんだ。


 せっかく、僕が計画した、妻の誕生日のディナーをキャンセルさせ、


 堂々と、泊りがけで、誕生日に、不倫旅行をするなんて、


 かなり、腹がすわっていて、たちの悪い奴だと思い、


 不安と怒りとが、僕を襲った。


 なぜ、僕は、こんな目に遭わなければいけないんだ?


 絶望の中で、死にたい気分になってきた。


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■不倫妻をもつ夫の悲しい日記(26)■


 ルンルン気分で、家に帰り、早速、妻に、誕生日の予定を、


 伝えようとした。


 しかし、とんでもない言葉が、僕を失望のどん底に落としいれた。 


 「誕生日の日は、昔、勤めていた会社の会があって、


泊まりがけで、出かけるの。」


 「子供たちの、面倒は、富山のお母さんに来てもらうから、


 大丈夫よ。」と、返事が帰ってきたのだ。


 なぜ、妻の誕生日に、妻の母と、過ごさないといけないのだ。


 それも、誕生日の日に、泊りがけで、出かけるとはありえない。


 平日なのに泊りがけで、昔の会社の会なんて、おかしいではないか?


 怒りと、不信感が、僕を襲いかかった。


 やっぱり、不倫相手と誕生日祝いの旅行にでも行くのか?


 せっかくの誕生日のセッティングも、水の泡だ。


 もう嫌だ!気が狂いそうだ!


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